パワハラ/アカハラに関与した学部執行部(2014年度時点)
井形浩治被告 池島真策被告 北村實元副学長 二宮正司元学部長 樋口克次元副学部長 田中健吾元学部長補佐 吉野忠男現副学部長
Information
吉 井 康 雄
CVS :
Certified Value Specialist
CMC :
Certified Management
Consultant
MCMC :
Japan Master Certified
Management Consultant
元、大阪経済大学 経営学部 教授
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是非、次の争点1、争点2は、一読してください。
⇒ 争点1.特任任用、労使慣行の存在 ⇒ 争点2.被告らの故意による共同不法行為
大阪高裁の判決の帰結するところは、全て、主文に示されている。
この「主文 事実及び理由 第1 控訴の趣旨 第2 事案の概要」は、分析・評価から除外する。
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検 索 項 目
主文
事実及び理由
事実及び理由: 第1 控訴の趣旨
事実及び理由: 第2 事案の概要
1 本件は … 特任教員に任用されなかったこと
2 原審は 主位的請求 … 予備的請求 … 棄却し …
3 前提事実
4 争点
5 争点についての当事者の主張
争点(1)について
争点(2)について
(控訴人の主張)
(被控訴人らの主張)
争点(3)について
争点(4)について
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平成27年4月23日判決言渡 同日原本領収 裁判所書記官
平成26年(ネ)第2955号 地位確認等請求控訴事件,平成27年(ネ)第176号
同附帯控訴事件
(原審。大阪地方裁判所平成25年(ワ)第5815号)
口頭弁論終結日 平成27年2月5日
判 決
奈良県橿原市地黄町172−2
控訴人兼附帯被控訴人(第1審原告)
吉 井 康 雄
(以下「控訴人」という。)
同訴訟代理人弁護士 関 川 信 也
大阪市東淀川区大隅2丁目2番8号
被控訴人兼附帯控訴人(第1審被告)
学校法人大阪経済大学
(以下「被控訴人大学」という。)
同代表者理事長 佐 藤 武 司
京都府向日市上植野町野上山25−5−103
被控訴人兼附帯控訴人(第1審被告)
井 形 浩 治
(以下「被控訴人井形」という。)
大阪市北区天神橋1−4−7−1103
被控訴人(第1審被告)
池 島 真 策
(以下「被控訴人池島」という。)
上記3名訴訟代理人弁護士 俵 正 市
同 寺 内 則 雄
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主 文
1(1)控訴人の本件各控訴に基づき,原判決主文第1項〜第3項を次のとおり変更する。
(2)被控訴人らは,控訴人に対し,連帯して80万円及びこれに対する平成25年7月4日から
支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
(3)控訴人の被控訴人らに対するその余の主位的請求及び予備的請求をいずれも棄却する。
2 被控訴人大学及び被控訴人井形の本件各附帯控訴をいずれも棄却する。
3 訴訟費用(控訴費用を含み,附帯控訴費用は除く。)は、第1, 2審を通じてこれを50分し、
その3を被控訴人らの負担とし,その余は控訴人の負担とし,
附帯控訴費用は,被控訴人大学及び被控訴人井形の負担とする。
4 この判決は,第1項(2)に限り,仮に執行することができる。
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事 実 及 び 理 由:第1 控訴の趣旨
事 実 及 び 理 由
第1 控訴の趣旨
1 原判決のうち,控訴人敗訴部分を取り消す。
2 主位的請求1
(1)控訴人が,被控訴人大学に対し,雇用契約上の権利を有する地位にあることを確認する。
(2)被控訴人大学は,控訴人に対し,平成25年4月から本判決確定の日まで,毎月25日限り
月額35万3750円の割合による金員及びこれに対する各支払日の翌日から支払済みまで
年5分の割合による金員を支払え。
3 予備的請求(主位的請求1との関係)
被控訴人らは,控訴人に対し,連帯して1273万5000円を支払え。
4主位的請求
被控訴人らは,控訴人に対し,連帯して70万円及びこれに対する平成25年7月4日から
支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
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1 本件は … 特任教員に任用されなかったこと
第2 事案の概要
1 本件は,被控訴人大学の教授であった控訴人が,定年を迎えることから被控訴人大学の
特任教員の任用手続の申請をしようとしたところ,
被控訴人大学の教授であった被控訴人井形及び被控訴人池島がこれを妨害し,
任用手続を進めなかったため特任教員に任用されなかったとして,
(1)ア 主位的に,被控訴人大学では特任教員の任用を申請すれば任用されるという
労使慣行があった,あるいは上記のような労使慣行が認められないとしても,
人事権行使の理由,態様が著しく信義に反しており,かつ,控訴人が特任教員に
任用されることについて有していた期待は法的に保護されるべきものであるから,
本件においては,正式の任用行為がなくても例外的に任用行為がされた場合と
同視できるとして,
被控訴人大学に対し,
控訴人が被控訴人大学の特任教員の地位にあることの確認並びに同地位に基づく給与
及びこれに対する各支払日の翌日から支払済みまでの民法所定の年5分の割合による
遅延損害金の支払を求め(主位的請求1),
イ 予備的に,控訴人について特任教員の地位にあることが認められないとしても,
任用手続を進めていれば特任教員に任用された蓋然性が高かったとして,
被控訴人井形及び被控訴人池島に対しては民法709条に基づき,
被控訴人大学に対しては民法715条1項に基づき,それぞれ損害賠償として,
任用されていれば得られたはずの給与相当額1273万5000円の連帯支払を
求めるとともに(予備的請求),
(2)被控訴人井形及び被控訴人池島が,控訴人の特任教員任用申請行為を妨害したことは,
控訴人に対する不法行為に当たるとして,被控訴人井形及び被控訴人池島に対しては
民法709条に基づき,被控訴人大学に対しては民法715条1項に基づき,
慰謝料100万円及びこれに対する平成25年7月4日(訴状送達の日の翌日)から
支払済みまで年5分の割合による遅延損害金の連帯支払を求めた(主位的請求2)
事案である。
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2 原審は 主位的請求 … 予備的請求 … 棄却し …
2 原審は,
@ 主位的請求1(上記1(1)ア)については,
控訴人の主張する労使慣行があったとは認められず,
正式の任用行為がなくても被控訴人大学の特任教員に任用された場合と同視し得るとは
いえないとして,これを棄却し,
A 予備的請求(上記1(1)イ)については、控訴人について任用手続が進められたとしても、
控訴人が特任教員に任用された高度の蓋然性があったとはいえないとして,
これを棄却し,
B 主位的請求2(上記1(2))については,
被控訴人池島の行為は控訴人に対する不法行為に当たるということはできないとして,
控訴人の被控訴人池島に対する請求を棄却したものの,
被控訴人井形には,控訴人の特任教員への任用申請手続の取扱いに過失があり,
被控訴人井形の行為は不法行為に当たるとして,
控訴人の被控訴人井形及び被控訴人大学に対する請求を一部認容した。
これを不服とする控訴人が本件各控訴を提起し,
被控訴人井形及び被控訴人大学が本件各附帯控訴を提起した。
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3 前提事実
3 前提事実
(争いのない事実並びに後掲各証拠及び弁論の全趣旨によって認定できる事実。
なお,後掲各証拠のうちの人証の証拠調べは,いずれも原審において行われたものである。)
(1)後記(2)のとおり訂正するほかは,原判決3頁10行目から8頁4行目までに記載の
とおりであるから,これを引用する。
(2)
ア 原判決3頁14行目の「(第1部,第2部)」を
「(第1部(昼間学部),第2部(夜間学部))」と改める。
イ 原判決3頁16行目の「定年に達したときは」を
「定年に達したときは,当該年度の末日をもって」と改める。
ウ 原判決3頁18行目から19行目にかけての「平成21年10月から平成24年3月まで
学部長を」を「平成22年10月から平成25年3月まで経営学部の学部長を」と改める。
工 原判決3頁19行目の「(乙27)」を「(乙27,被控訴人井形本人)」と改める。
オ 原判決3頁24行目の「「特任教員に関する規定」(以下「旧規定」という。)」を
「「特任教員に関する規程」(以下「旧規程」という。)」と改める。
また,原判決のうち「旧規定」とあるのは,全て「旧規程」と読み替える。
力 原判決3頁25行目から26行目にかけての「「特任教員任用規定(以下「現行規定」と
いう。)」を「「特任教員任用規程(以下「現行規程」という。)」と改め,
3頁26行目の「同規定」を「同規程」と改める。
また,原判決のうち「現行規定」とあるのは,全て「現行規程」と読み替える。
キ 原判決4頁1行目の「「特任教員に関する規定」」を「旧規程」と改める。
ク 原判決7頁6行目の「経営学部教授会規定」を「経営学部教授会規程」と改める。
ケ 原判決7頁16行目の「カリキュラム委員会規定」を「カリキュラム委員会規程」と改める。
コ 原判決7頁17行目の「規定」を「規程」と改める。
サ 原判決7頁18行目の「推薦や」を削除する。
シ 原判決7頁22行目から23行目にかけての「特任教員A」を「
特任教員A(以下,単に「特任教員」という。)」と改める。
ス 原判決7頁23行目の「甲5ないし7」を「甲5〜7」と改める。
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4 争点
4 争点
(1)被控訴人大学において,現行規程における任用基準を満たす者が特任教員への任用を
申請すれば,特任教員に任用されるという労使慣行があったか否か(主位的請求1関係)
(2)控訴人の特任教員への任用申請に対する被控訴人らの対応が,
著しく信義に反するものであり,控訴人に対する違法な加害行為に該当するか否か
(主位的請求2及び予備的請求関係)
(3)控訴人の特任教員への任用申請に対する被控訴人らの対応が,著しく信義に反するもので
ある場合に,被控訴人大学の任用行為がなくても,任用行為がされたのと同視することが
できるか否か(予備的請求関係)
(4)控訴人に生じた損害及びその額(主位的請求2及び予備的請求関係)
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5 争点についての当事者の主張: 争点(1)について
5 争点についての当事者の主張
(1)争点(1)について
ア 後記イのとおり訂正し,後記ウのとおり,当審における補充主張を加えるほかは,
原判決8頁16行目から12頁25行目までに記載のとおりであるから,これを引用する。
イ(ア)原判決8頁25行目及び9頁5行目の各「任用規定」を,
それぞれ「現行規程」と改める。
(イ)原判決9頁7行目の「2部科目」を「第2部科目」と改める。
(ウ)原判決10頁2行目の「地位保全仮処分申立事件」を
「別件の地位保全仮処分申立事件」と改める。
(エ)原判決10頁25行目の「教授会における発言」を「教授会における渡辺大介教授
(以下「渡辺教授」という。)の発言(甲14,15)」と改める。
(オ)原判決11頁12行目の「触る行為がなされた」を「触った」と改める。
(カ)原判決11頁25行目の「複数の部」を「第1部及び第2部」と改める。
(キ)原判決11頁26行目の「昼間部」を「第1部」と改める。
(ク)原判決12頁2行目の「夜間部」を「第2部」と改める。
(ケ)原判決12頁5行目の「1部科目」を「第1部科目」と改める。
(コ)原判決12頁99行目から10行目にかけての「昭和52年に定年制導入の代替措置と
してでもないし,」を「昭和52年に定年制が導入されたことの代替措置として
設けられたものではないし,」と改める。
(サ)原判決12頁11行目の「規定化されていた」を「定められていた」と改める。
(シ)原判決12頁12行目の「規定」を「規程」と改める。
(ス)原判決12頁18行目から19行目にかけての「継続的に明らかとされている。」を
「従前から明らかである。」と改める。
(セ)原判決12頁23行目の「推薦委員会」を「特任教員推薦委員会」と改める。
ウ 当審における補充主張(控訴人の主張)
被控訴人大学の経営学部においては,特任教員への任用の申請をし,
最後までその意思を有していたにもかかわらず,手続の過程で不採用になった者は
一人もいない。
原判決が指摘する不採用の事例は,いずれも経営学部以外の事例であり,
直ちに経営学部における労使慣行の有無の判断に結びつけるべきものではない。
被控訴人大学においては,平成2年から平成24年までの23年間に,
定年退職となった者について,最終段階まで特任教員任用を希望しながら
申請が認められなかったのは42名中3名で,
これら3名の者が任用されなかった背景には,平成16年度の稀に見る熾烈な学長選挙の
影響があり,極めて政治的な要因によるものであった。
被控訴人大学は,特任教員推薦委員会の判断が形式的であり,これを受けた教授会の
決議も形式的なものであったことを従前から認めている(甲13)。
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5 争点についての当事者の主張: 争点(2)について
(2)争点(2)について
ア 後記イのとおり訂正し,後記ウのとおり,当審における補充主張を加えるほかは,
原判決14頁7行目から17頁24行目までに記載のとおりであるから,これを引用する。
イ(ア)原判決14頁8行目から9行目まで(項目ア)を,次のとおりに改める。
「ア 以下の事情に照らすと,被控訴人井形及び被控訴人池島の行為は,
控訴人に対する違法な加害行為に当たる。」
(イ)原判決14頁11行目,12行目,13行目から14行目にかけて,16行目から17行目に
かけて,22行目及び25行目の各「カリキュラム委員会」を,
それぞれ「カリキュラム検討委員会」と改める。
(ウ)原判決14頁17行目の「授業計画」を「授業担当計画」と改め,
同行目の「「授業計画書の不備」」を「授業担当計画の不備」と改める。
(エ)原判決14頁22行目の「特任教員の任用規定」を「現行規程」と改め,
同「授業計画」を「授業担当計画」と改める。
(オ)原判決14頁24行目の「推薦委員会」を「特任教員推薦委員会」と改める。
(カ)原判決14頁25行目の「授業計画」を「授業担当計画」と改める。
(キ)原判決14頁26行目の「「授業計画書」の不備」を「授業担当計画の不備」と改める。
(ク)原判決15頁2行目の「任用規定」を「現行規程」と改める。
(ケ)原判決15頁8行目の「計画案」を「授業担当計画」と改める。
(コ)原判決15頁23行目から24行目にかけての「推薦委員会に提出するものと
されているが,「学部長との合意」など求められていない。」を
「特任教員推薦委員会に提出するものと定めているが,
「学部長との合意」などは求めていない。」と改める。
(サ)原判決16頁7行目の「授業計画(案)」と,9行目の「授業計画案」を,
それぞれ「授業担当計画」と改める。
(シ)原判決16頁19行目の「3か年授業担当計画」を「授業担当計画」と改める。
(ス)原判決17頁1行目,3行目,4行目から5行目にかけて及び8行目の
各「「授業担当計画」」を「授業担当計画」と改める。
(セ)原判決17頁1行目の「10月15日」を「同月15日」と改める。
(ソ)原判決17頁5行目,7行目,8行目,12行目,13行目,16行目及び19行目から
20行目にかけての各「推薦委員会」を「特任教員推薦委員会」と改める。
(タ)原判決17頁11行目の「被告井形は」から13行目の「ことである。」までを
「学部長である被控訴人井形は、控訴人と授業担当計画について協議した上で、
これを特任教員推薦委員会に提出するものとされているが,
控訴人との協議が整わなかったので,
手続上,特任教員推薦委員会に授業担当計画を
提出することができなかっただけである。」と改める。
(チ)原判決17頁19行目の「「授業計画書」が満たされていない」を
「適式な授業担当計画が提出されていない」と改める。
(ツ)原判決17頁23行目から24行目にかけての
「即授業計画と結びつくものでないことを看過しており失当である。」を
「直ちに適式な授業担当計画となるものではない。」と改める。
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5 争点についての当事者の主張 争点(2): (控訴人の主張)
ウ 当審における補充主張
(控訴人の主張)
(ア)被控訴人井形は,現行規程には何の定めもない「カリキュラム検討委員会の総意」
なるものを口実に,控訴人の特任教員任用申請書類に不備があったという理不尽な
解釈でもって,控訴人の特任教員任用申請を握りつぶしたが,このような理由で
同申請を不受理とすることができないことは百も承知であったはずである。
原判決は,この点を被控訴人井形の過失であると評価しているが,
被控訴人井形は,故意に,控訴人の上記申請を妨げたものである。
当時のカリキュラム検討委員長であった被控訴人池島や他の委員は,
控訴人の担当科目の内容を把握しておらず,また,
被控訴人池島の原審における供述によると,カリキュラム検討委員会の委員からは,
控訴人の担当科目の内容についての質問もなかったというのであるが,
特定の科目の必要性について協議をする際に,当該科目の内容を理解していない者が
これを不要とする結論に賛成することができるはずはない。
控訴人の授業担当計画に関するカリキュラム検討委員会の協議がまともにされたとは
到底考えられないところ,被控訴人井形が「カリキュラム検討委員会の総意」を楯に
控訴人の特任教員任用申請を拒み続けた事実からすると,
「カリキュラム検討委員会の総意」は,控訴人の特任教員任用申請を拒否する口実と
することを目的として作出されたものであることは明自である。
そして,被控訴人井形及び被控訴人池島が,
「カリキュラム検討委員会の総意」を口実に,現行規程に従った手続を拒んだのは,
それまでに控訴人が,
被控訴人大学の発展を願い,教授会で忌憚のない意見を述べ続けたことを
快く思わない一部の教授達が,
控訴人を被控訴人大学から締め出すべく画策したからにほかならない。
被控訴人大学の草薙副学長及び学長補佐をしていた山田准教授(平成24年10月
19日当時)も,被控訴人井形及び被控訴人池島の対応は,控訴人を排斥するための
嫌がらせであることを認める趣旨の発言をしている(甲23,24)。
(イ)本件においては,被控訴人井形及び被控訴人池島は,故意に現行規程に違背して,
控訴人の特任教員任用申請を不受理としているのであるから,
その人事権行使の理由,態様が著しく信義に反するものであることは明白である。
(ウ)原判決は,被控訴人井形と被控訴人池島の共同不法行為責任を否定するが,
「カリキュラム検討委員会の総意」なるものは,不当な目的で作出されたものであり,
カリキュラム検討委員長であった被控訴人池島の行為の違法性は重大であり,
被控訴人池島には故意が認められるべきであるし,
少なくとも過失が認められるべきである。
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5 争点についての当事者の主張 争点 (2): 被控訴人らの主張)
(被控訴人らの主張)
(ア)原判決は,現行規程に授業担当計画についての学部長と対象者との協議が
まとまらなかった場合には授業担当計画を提出しないこととする旨の規定がない
以上,学部長は,特任教員の任用申請手続を進めなければならないとした上で,
被控訴人井形が書類の不備があるとの判断をし、その結果、控訴人の特任教員への
任用申請手続が進められなかったことから,
控訴人は,特任教員推薦委員会等の審理を受ける機会を奪われたと判断するが,
被控訴人井形は,書類の不備があると判断しつつ,事態を穏便に進めるため,
前例に依拠して、控訴人に対する説得を試みたものの、控訴人がこれに
応じなかったことから、やむなく特任教員推薦委員会の委員長に相談して
いるのであるから,この時点で学部長として特任教員推薦委員会に
授業担当計画を提出したものと評価すべきである。
また,仮に,授業担当計画が提出されていないとしても,控訴人が
特任教員推薦委員会で推薦される可能性が皆無に近かったことを考慮すると,
控訴人が特任教員推薦委員会等の審理を受ける機会を奪われたとはいえない。
したがって,被控訴人井形には過失はない。
(イ)原判決は,被控訴人井形は,控訴人との協議がまとまらなかったことを前提に,
学部長として控訴人の授業担当計画を特任教員推薦委員会に提出して
手続を進めなければならなかったと判示するが,
授業担当計画の作成権限は被控訴人井形にあり,
その権限の淵源は翌年度の学部全体の授業計画を決定する教授会
(その負託を受けたカリキュラム検討委員会)にあるので,
学部長である被控訴人井形の決定は教授会の決定でもある。
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5 争点についての当事者の主張: 争点(3)について
(3)争点(3)について
ア 後記イのとおり訂正するほかは,原判決13頁2行目から18行目までに
記載のとおりであるから,これを引用する。
イ(ア)原判決13頁8行目の「規定上」を「現行規程上」と改める。
(イ)原判決13頁8行目及び11行目の各「推薦委員会」を,
それぞれ「特任教員推薦委員会」と改める。
(ウ)原判決13頁9行目の「カリキュラム委員長」を「カリキュラム検討委員長」と改める。
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5 争点についての当事者の主張: 争点(4)について
(4)争点(4)について
ア 後記イのとおり付加・訂正し,後記ウのとおり,当審における補充主張を加えるほかは,
原判決13頁22行目から14頁4行目までに記載のとおりであるから,これを引用する。
イ(ア)原判決13頁25行目の「推薦委員会」を「特任教員推薦委員会」と改める。
(イ)原判決13頁26行目の末尾に続けて「控訴人は,被控訴人井形及び被控訴人池島の
共同不法行為によって,被控訴人大学の特任教員に任用されていれば得られた
はずの給与相当額である1273万5000円の損害を被った。
また,控訴人は,被控訴人井形及び被控訴人池島の共同不法行為によって
精神的苦痛を受けた。これに対する慰謝料の額は100万円が相当である。」を加える。
(ウ)原判決14頁1行目(2箇所)の各「推薦委員会」を,
それぞれ「特任教員推薦委員会」と改める。
(エ)原判決14頁4行目の末尾に続けて
「したがって,控訴人には損害は生じていない。」を加える。
ウ 当審における補充主張(控訴人の主張)
原判決は,被控訴人らの主張する「カリキュラム検討委員会の総意」なるものの存在を
鵜呑みにして,控訴人が特任教員に任用される高度の蓋然性があったとはいえないと
判断するが,
控訴人を排斥しようと画策していたのはあくまでも一部の教授であり,
被控訴人井形及び被控訴人池島の行為に異を唱える教授も複数存在したことや,
被控訴人大学においては,特任教員任用申請が認められないことが極めてまれであること
からすると,
控訴人の特任教員任用申請が認められる高度の蓋然性があったというべきである。
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